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研究内容

 私たちの研究室では、主に植物ホルモンを対象に研究を行っています。数ある植物ホルモンの中でも、現在は主に「ストリゴラクトン」と呼ばれるホルモン分子に着目し、このホルモンの機能を化学的、生物学的視点から明らかにし、最終的には作物生産などに応用することを目標に研究に励んでいます。

 ストリゴラクトンは、主に植物の枝分かれを調節するホルモン分子です。また、それ以外にも、葉の老化や、根の成長、茎の二次成長、乾燥ストレス応答、など様々なホルモン機能を有しています。

 また、下の図で示した通り、ストリゴラクトンは植物ホルモンとして機能するだけではなく、根から土壌中に放出されて、アレロケミカルとしても作用することが知られています。

 陸上植物の8割以上が共生するといわれている、アーバスキュラー菌根菌は、宿主植物にリンなどの無機栄養をもたらしてくれる重要な共生菌です。植物はリンが枯渇すると、ストリゴラクトンをたくさん作って、根に放出し、アーバスキュラー菌根菌を活性化することで、共生を促進しようとします。つまり、ストリゴラクトンは菌根菌との共生シグナルとしても機能します。

一方で、アフリカなどの農地で大きな被害をもたらしているストライガなどに代表される根寄生植物と呼ばれる植物がいます。根寄生植物は、種子の耐久性が高く、食いつく相手が来るまで土壌中で休眠しながら待機していますが、ひとたび宿主が植えられると、根から放出されるストリゴラクトン分子により、その存在を感知して発芽します。つまり、ストリゴラクトンは、言わば敵に対して自分の存在を知らしめてしまうような、ネガティブな作用も持っているということが出来ます。また、根寄生植物の側から考えると、宿主に効率よく寄生することが出来るための、緻密な生存戦略を有しているということが出来ます。

 私たちの研究室では、宿主植物内で、ストリゴラクトンがどのように作られるのか?また、作られたストリゴラクトン分子が宿主、或いは根寄生植物において、どのように認識されて機能するのか?といった課題に取り組み、そのメカニズムを分子レベルで明らかにすることを目標に研究を行っています。

 ストリゴラクトン以外にも、植物の成長を制御する低分子生理活性物質を対象に様々な研究を行っています。興味のある方は、是非ご連絡ください。

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